こんにちは、豊山町にあるピアノとリトミックのおうか音楽教室 すずきともこです。
前回脱線して終わったお話です。
教室に通っているシニアの生徒さん、いつも練習熱心で
お家でも練習をがんばっています。
でも、生活の中でどうしても練習ができない時もありますね。
ですのでバリバリ練習してくるというよりは、
一曲を時間をかけて丁寧に仕上げていっています。
同じ曲だけを弾いていると、
決まった動きが多いので、どうしてもテクニックが偏ってしまいがち。
技術向上もありますがそんな理由もあって、
曲だけではなくテクニックのテキストも併用することはとても大切ですね。
ちょうど少し前の練習曲からは16分音符に特化した曲に。
同じ音型や、音階などを使った曲です。
まずはゆっくり弾いて音の動きに慣れてもらいます。
右手はすらすらと進めますが、左手に16分のメロディーが移ると
少しテンポが落ちます。
そのあたりを直しつつ、全体が滑らかに弾けてきましたら
テンポアップです。
でも、なかなかうまくいかない。
そこで、この曲を弾くときに最初に伝えていた注意点について
もう一度確認しました。
それは、この曲の16分音符は
「1拍分の4つの塊で考える事」
16分音符が出てくると途端に音の数が増えますね。
4分音符なら4拍子の曲で1小節にたった4音だったものが、
16分音符だと4倍の16個になります。
4分音符の見方、弾き方と同じように弾いていると
テンポは上がらないし、その曲らしさもでてきませんね。
この事はうまく文章で伝えられている自信がほぼありませんが、
ようするに、こうゆうことですよ。
と、楽譜に書かれたテンポでお手本を弾いてみました。
そうしましたら、Hさんは
こんな速かったの!?
なんだか違う曲みたい!
そうなんです。かなりゆっくり目に弾いていたので
元のテンポで弾くともう全然違う曲のように聴こえてくるのです。
音楽の要素である「テンポ(速さ)」は
その曲らしさを決める重要なポイントでもあります。
ゆっくりな曲はゆったりとした気持ちや、
穏やかな雰囲気なものがありますし
速い曲は、差し迫っている緊張感が現れますし、
躍動感も生まれますね。
もちろん、調性やリズム、楽器、強弱やその他の様々な要素によって
上記とは全く違った曲は山のようにありますが、
同じ曲をゆっくり弾くのと速く弾くのでは、その曲のキャラクターは
全く変わってきてしまうと思います。
本来なら、きちんと書かれたテンポはこのくらいで、こんな曲ですよ。
と、お伝えすればよかったのですが、Hさんには
速い曲=難しい!大変そう!弾けるか不安!
曲を弾き始める前からマイナスのイメージを持ってほしくなくて
まずは弾けるテンポから始めることにしました。
そして、最後までテンポを変えることなく
心に余裕をもって弾けるようになった今、
このタイミングで指示された曲の速さというものをお伝えしたのでした。
ただ、お伝えした目的というのは
このテンポで弾けるように頑張りましょう!
という事ではありません。
このテンポで弾くと、曲がなんだか別人のよう!
それはなぜなのか?
を考えてほしかったからです。
ここに今回の16分音符の練習曲でつかんでほしい目的が
隠されているのです(隠れてないけど)
16分音符を4つのまとまりとして弾いてみると、
指も、4音という4つの情報→4つで1組という1つの情報として覚えて
シンプルにわかりやすく動いてくれるようになります。
そうして余裕をもって右手が動くと
たくさん動く右手の16分音符ではなく、
四分音符で動く左手の低音も美しく聞こえてきます。
両手が綺麗にまとまって響いてくると
曲はどんどん前に進みますし、テンポも上がります。
次の回のレッスンの時、
前回のテンポのことがかなり衝撃だったらしく、
そんなに早く弾けない!!
と思いつつ、4つのまとまりに注意をしながら
いつものようにコツコツ練習してきてくれました。
指示された速さにはいけませんでしたが、
それでも、以前よりぐっと16分音符の軽やかな響きが美しく
聴こえる曲になりました。
たまには衝撃を受けるくらいの驚きも必要ね~。
家に帰ってからもずっと忘れられなくて、
練習の時も違う曲を弾いているくらいちがってたのよ~~。
息子も、全然違う曲みたいに聴こえるって言っててね~。
と、衝撃の深さを面白おかしくお話してくれました。
難しい!
大変!!
と思いながらも、いつもその困難さを楽しんで乗り越えようと
されている姿勢に、私の方がたくさんの事を学ばせていただいている
Hさんとのレッスンでした。
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